サーバーはIT用語の一つで「ネット上で様々なサービスを提供するコンピュータやシステム」のことを指しますが、「○○サーバー」というようにサーバーの前に色々な言葉がつくことがありますよね。実はサーバーには様々な種類があって役割も違います。
この記事では代表的なサーバーの種類について説明して見たいと思います。
1.代表的なサーバーの種類
冒頭で述べたように、サーバーと言ってもその種類はたくさんあります。一つのサーバーがクライアントからのすべての要求に応えるわけではありません。
ファーストフードで考えてみましょう。お店には受付店員がいて、その後ろにはポテトの調理を担当する店員、ジュースを担当する店員、ハンバーグを焼く店員など役割分担がされていますよね。同じようにネットワーク上のサーバーにも色々な種類があって、それぞれ担当する仕事が異なります。
サーバーの代表的な種類を見てみましょう。
代表的なサーバー1:Webサーバー
Webサーバーとはブラウザからのリクエストに対して必要なデータを返すサーバーのことです。ブラウザはGoogle ChromeやSafari、FireFoxなど色々なサイトにアクセスするために使うソフトで、Webサイトを使う時にほとんどの人がこれらのブラウザを使っているでしょう。
ブラウザで特定の文字を検索するとWebサーバーはそのリクエストに合致する情報を返してきます。Webサーバーの中にはHTMLファイルやCSSファイル、画像ファイルなど様々な種類のファイルが格納されていますが、それらの情報がブラウザに対して返されるとサイトが表示されるようになっています。ポテトとジュースとハンバーガーのセットを注文したらそれがまとめて出てくるようなものです。
強いて言うならWebサーバーはお客さんに注文された料理を渡す受付店員のようなイメージです。代表的なWebサーバーとしては「Apache」や「Nginx」などがあります。
代表的なサーバー2:メールサーバー
メールサーバーは名前の通りメールに関係するサーバーです。メールサーバーには以下の2つに大別することができます。
・受信サーバー(POPサーバー)
受信サーバーは受信を担当するサーバーです。メールを使う時はYahoo!メールやGメールなど様々なメールソフトを使うと思いますが、メールソフトは受信する時にまずこの受信サーバーにリクエストを送ってメールを受け取ります。
・送信サーバー(SMTPサーバー)
こちらは送信を担当するサーバーで、受信の時のようにメールソフトがリクエストを送信サーバーに送って情報の受け渡しが行われます。Yahoo!メールをGメールソフトで受信できるようにする時などはメールの設定画面が出てきますが、その時にPOPサーバーやSMTPサーバーがよく出てきます。
代表的なサーバー3:データベースサーバー
データベースという言葉から連想できると思いますが、このサーバーはアプリで利用するデータを保管して管理するサーバーです。Webサイトのほとんどがデータベースサーバーを利用していますが、このサーバーのおかげでデータを作成したり更新したり削除したり読み込んだりできます。
データベースサーバーはいわばデータの倉庫で、必要に応じてここからデータの取り出しを行います。ハンバーガーショップで例えるならパンやハンバーグなどの具材が置いてある冷蔵・冷凍室がデータベースサーバーといったところです。この中で具材が整理整頓されたり増減したりします。
ちなみにデータベースサーバーと先述のWebサーバーはAP(アプリケーションサーバー)というサーバーを介して一緒に働くことがあります。アプリケーションサーバーはアプリを実行するサーバーで、Webサーバーからのリクエストを受け取ってアプリを実行し、そのアプリからデータベースサーバーのデータを操作して最終的にWebサーバーに渡します。
アプリケーションサーバーの役割をハンバーガーショップで例えるなら、受付店員(Webサーバー)から注文を受ける調理係です。調理係は注文に応じて冷蔵・冷凍室(データベースサーバー)から具材を取り出して調理してから受付店員に渡します。このように様々なデータベースが連携してクライアントからのリクエストに応答しています。
ちなみにWebサーバーやAPサーバー、データベースサーバーなどをまとめて「ミドルウェア」と呼ぶことがあります。
代表的なサーバー4:DNSサーバー
DNSサーバーは「Domain Name System Server(ドメイン・ネーム・システム・サーバー)」のことです。このサーバーはIPアドレスという数字の羅列をドメインと呼ばれる分かりやすい文字列に変換してくれるサーバーです。URLを見ると「https://www.〇〇〇〇」という文字列をよく見かけますよね。〇〇〇〇に当たる部分がドメインです。
具体例で見てみましょう。JPNICというサイトのIPアドレスは「202.12.30.144」という数字の羅列なので、このサイトにたどり着くには「http://202.12.30.144/」と打てます。でもこれだと覚えにくいですよね。DNSサーバーを使って文字列に変換すると「http://www.nic.ad.jp/」と打ってもサイトにアクセスできるようになります。この方が簡単ですよね。
代表的なサーバー5:FTPサーバー
FTPサーバーは「File Transfer Protocol Server(ファイル・トランスファー・プロトコル・サーバー)」はWebサーバーにファイルを送受信するためのサーバーです。FTPとは簡単に言えばデータのやりとりをする時のルールのことです。このルールに沿って送受信を行うことでデータがスムーズにやり取りされます。交通ルールのようなものですね。
「FTPソフト」を使ってFTPサーバーに接続し、データを転送したり更新するとWebページにそれが反映されます。ショップの例えでいうと、注文されて出来上がったポテトやハンバーガーなどの商品をトレイに並べて受付店員(Webサーバー)に渡す店員のようなものです。マニュアル(FTP)に沿った動きをしてスムーズに注文商品がクライアントに出されるように働きます。
代表的なサーバー6:SSHサーバー
SSHサーバーは「Secure SHell Server(セキュア・シェル・サーバー)」のことで、情報を暗号化する役割を持ちます。ネット上で個人情報のやりとりなどをする時は何よりもセキュリティが重要ですが、安全にデータの送受信を行うためにはデータの暗号化を行う必要があります。
インターネットのやりとりでは、データは発信元から送信先へと一直線に到達するわけではありません。いくつもの網の目のようなネットワークを介して届きます。もしデータの中継地点に悪意を持った人間がいれば途中でデータを盗もうとするかもしれませんが、暗号化することでそのリスクを防ぎやすくなります。
2.まとめ
インターネット上でのサービスは、様々なサーバーがそれぞれの役割を果たすことで成り立っています。紹介した代表的なサーバーの役割をある程度理解しておくと、ITの仕組みがよりよく分かるようになるのでぜひ覚えておくようにおすすめします。サーバーの仕組みが分かると、クライアントとしてサーバーのサービスを受けるだけでなく、サーバーを利用してサービスを運用する側にまわることもできます。